「しつこくてすみません…」と、お客様
こだわりが多く決断力は低め、つまり優柔不断
そしてご予算はシビアである
打合せ回数、時間共に通常より大幅に増え
打合せ時以外の質問や要望、変更等の連絡頻度も高い
1.時間を取られる
2.予算は削られる
3.なかなか決定していただけない
効率よく仕事をすべき側からするとなかなかモチベの保ちにくい条件が三拍子揃っておられる
効率や数字だけが全てではないのも重々承知だが
これが積み重なっていく毎にこちら側としても報われない疲労感が増していってしまったりするのも事実
それで
わたしの経験談なので個々の価値観による違いはあると思うけど
わたしはある一定の峠を超えると
逆にとことん付き合ったるで精神が出てくる
たぶん、お客様の熱意に根負けをする状態なのかもしれない
こういうお客様は、時間やお金だけで考えてしまうとお客様は粘り勝ちで得をして、こちら側にとっては損が多いように見えるんだけど
こちら側の提案力や説明などの不足を省みる機会を得られるお客様でもある
日々業務をこなしているとどうしても説明や提案はマンネリ化しがちになるし
年齢や経験と共に良くも悪くも新鮮味やワクワク感なんかも薄れたりしていて
ルーティンみたいになると知らないうちに頭が固くなっていたりもするだろう
お客様がアッサリした人とか理解力の高い方とか器用な方であったりすると
お陰様で打合せはとてもスムーズに流れていくので、それはそれでありがたいのだが
見方を変えれば、自分の提案力を省みたり違うアプローチを考えたりする機会には恵まれにくくなる
いいお客様ばかりが自分を成長させてくれるとは限らないってことだ
とはいえ、クレーマーやネガティブな粗探しが得意な施主とはまた違うので
お客様自身にどことなく「この方のために」と思わせる何かがなければ、きっとこちらもそういう気持ちにまで動く事は無いのだと思う
「施主力」と言われたりするものだと思うけれど
人としてのマナーとか礼儀とかは最低限クリアしているのは前提として
会話とか熱意とか、コミュニケーションの中で生まれていくもの
なんだか人間らしくて血の通う感覚
(それ以外が血の通ってない打合せっていう事ではないのだけど)
納得できないことには絶対首を縦に振らない頑固さが見られたり、何がしたいのか迷走し過ぎて意味不明なのに謎の拘りが強くて決まらなかったりが重なると、もう!!…って感じにはなるのだけど(それはお客様も同じ状態)
こちら側の諸々の圧にも負けず
妥協したくない気持ちが見えたり一生懸命考えて相談されたりすると
なんだかこちらも「心」が動いてしまう瞬間がある
結局のところ、お客様の熱意に根負けするのだよね
そういう施主は、記憶に残る
そして納得できる落とし所をようやく見つけた暁には、施主にとってきっとオンリーワンのよき居心地の家になるんだと信じている
一般的な答えをスルーできないタイプの人や不器用なタイプの人は、答えが見つからない時には苦しいしストレスも増えるけど
そこを突破した時は苦しんだ分の喜びも増えるからね
住宅業界の効率化に飲み込まれない施主は、ある意味健全な感覚なのかもしれないよね
そういう人、わたしは案外嫌いじゃない